Statement X
交渉過程13のミーティングの結果、MSの主張する“95functionality”とは
「Windows95のexport-import機能のことだ」
と判明しました。
やっと、正体がハッキリしたということ。
よって、今回から、環境転送とexport-importの相違について。
まず、素人向けの事実指摘から。
1998年の時点で、export-importは周知の機能でした。
一方、1998年申請の環境転送特許は米国特許として成立しました。
これは何を意味するのか?
米国特許の審査官がexport-import機能のことを知らなかったのか?
幾らなんでも、そんなことは有り得ないでしょう。
するとですよ、米国特許審査官は、特許成立させた2000年の段階で、
「環境転送はexport-importとは違う機能だ」
と承認したということです。
この事実が大事です。
特許として、どこかに新規性・進歩性を認めたわけだ。
具体的に言って、それは何処なのか?
特許審査官に聞いてみたいものですね。
MS側は特許無効を狙っていました。
よって、こちらが、その核心部分を指摘しない限り、
「審査官が甘かった」
と主張してくるはずです。
しかし、それは
「審査官がexport-import機能を知らなかった」
と主張することと同等ですよ。
あり得ますか、あれ程、他の関連参考資料を挙げているのに。
つまり、このレベルのMSの主張は通らないでしょう、裁判で。
それでも、あくまでも、特許無効化を狙うか。
そうなると、このケースは単なる特許侵害事件ではなく、意図的ビジネス妨害の刑事事件の様相を呈してきますが。
その覚悟があるのかな?
MSは実力が無いので、こういう素人じみた真似が出来るのカモ。
ヤレヤレ、仕方ないですね。
というわけで、愈々、1000億円ビジネスの本丸を攻めましょうか。
まず、本特許の新規性・進歩性ですが、これはクレーム中の
「情報場」
という概念に集約されています。
この概念は、本特許で史上初めて提唱されたものです。
その定義(概念範囲)は特許の本文(明細)が説明しています。
明細全部が情報場の定義だと言えます。
情報システムは普遍枠内数学じゃないので、こういうimplicitな定義が可能です。
というか、こういう定義の仕方しかできません。
これができるのがプロ。
この結果、明細の内容がクレームにキチンと反映されたことになります。
一方、export-import機能の範囲は?
これは、極めて汎用性の高い概念です。
例えば、データベース系でもexport-import機能は使用されています。
更に、OSを丸ごと移す機能すらexport-import機能の一例になり得ます、そう呼びさえしたら。
「こういう汎用概念だから、特殊例としての環境転送もカバーする」
と思うのが間違いなの。
この種の汎用性は環境転送機能に対し、何ら効力を持ちません。
有理数の定義に対し、
「それは実数の一部だ」
と言ってるのと類似の現象です。
以下、この点を分析していきます。
仮に、Windows8上にWindowsXPを模擬転送するような機能を将来実現させたとします。
これを、“OS転送”と名付けましょうか。
OS転送は広義のexport-import機能にはならないのか?
こういう曖昧さを残しているという伏線です。
このレベルで、すでに、汎用概念としてのexport-import機能の漠然性が出ているということ。
こうやって、export-importという概念の境界のボケ具合を強調しておきます。
いずれにせよ、環境転送機能は、XPモードとは別機能としてWindows7で実現されています。
これは何を意味するのか?
「XP模擬では環境転送機能の発展的解消にはならない」
と認めているわけ。
逆に、OS転送はexport-import機能では無いとMSが主張したとします。
すると、
「OS転送はexport-importではなく、環境転送はexport-importと同類」
だと主張する根拠は?
そのためには、export-import機能の定義をする必要があるの。
定義せずに、何、寝言言ってるんですか。
環境転送機能が出現した後で、それに沿って定義しても駄目ですよ。
そうではなく、1998年以前に、どう定義されていたかが問題になるということ。
定義無しで使っていたということは、その時点までの具体例の集まりが定義だったのよ。
だから、両者が同類とは言えません。
これで、
「汎用概念のexport-import機能を持ち出しても、環境転送機能の無効化はできない」
ことが証明できたことになります。
なお、環境転送特許はシステム特許であり、細部技術系特許ではありません。
これは、環境転送特許がビジネスモデル系特許だということ。
この指摘で、特許の対象として、文句付けようが無いことが判ったでしょう。
これが、交渉過程13メールの論点3の真意。
この意味が解読できたかな?
もう少し、突っ込んでおきましょうか。
そのために、13メールの2番伏線の解明を。
何故、態々、メールやブラウザのアドレスに言及したのか?
その理由が推察できましたか?
素人向けの単純誤解レベルで解釈してると、真相には辿り着けません。
というわけで、以下は、今から先のOS転送機能の根幹に関わる話題になります。
Windows8へWindows7から環境転送できます。
一方、Windows8でWindowsVistaをOS転送導入したとします。
で、Windows7の(メールやブラウザ)アドレスとWindowsVistaのアドレスが違っていた場合。
この場合、Windows8上のWindowsVista模擬でメールを出すと、無事、送れるのか?
今後の開発のことを考慮すれば、ここで、様々な可能性が発生することが判るでしょう。
例えば、
「OS転送では自主アドレス設定をせず、本体のWindows8の設定が自動で適用される」
とか。
一方で、
「Vista独自の設定可能で、それはOS転送時に付随して決まる」
とか。
両者が違っていたら、どちらかを優先採用する等々。
(Windows7のXPモードでは、どうなっているのかな?)
こういう点を考えていましたか、私が論点2を述べた段階で。
これは、メーカー向けのサービスなんかじゃありません。
「私の環境転送特許は汎用のexport-import機能なんかでは無効化できない」
という事実の証明作業です。
以上で指摘したかったのは、
「一口にexport-import機能と言っても、プロが少し突っ込むと、こういう風に、曖昧さ、漠然性が暴露される。」
という事実。
よって、MSとしては、“Windows95のexport-import機能”と特化するしかなくなります。
これとの本質的相違は、今まで、散々、指摘してきました。
これで、勝負が付きました。
こういう風に機能面での相違を強調すると、仕方なく、
「export-import技術が環境転送技術に生かせるという意味だ」
なんて逃げを打つでしょう。
この種の逃げ口上を封じるために、今まで、準備してきたのですよ。
“技術を生かせる”とは、一体、何を意味するのか?
そりゃ、将来の技術は、それまでの技術を生かせます。
しかし、そんな空虚な汎用哲学では、話になりません、特許では。
ここから、13メールの伏線1の解読に入ります。
例えば、OSのアップグレードは、できるものとできないものがあります。
この壁を越えるのが環境転送。
では、MSの言う95functionalityでの、export-import機能は、技術的に、この壁を越えているのか?
MS側は、こういう技術壁のことなんか、全然考えてなかったでしょう。
だからこそ、環境転送特許の無効化の具体例として、愚かにも、
「Windows95の旧バージョンからWindows95の新バージョンへのexport-import機能」
を、しかも、
「Windows7(?)でのシミュレート機能(?)を用いて」
プレゼンしてしまったの。
(プレゼンのOSがWindows7だったかどうか、未確認です。)
これじゃ、自分達が、プロとして、何も判ってないと私に自白したようなもの。
見た瞬間、私の勝ちだと確信したわけです。
理論的にキチンと言っておきましょうか。
環境転送もexport-import機能も、共に、理論上は、“木から木へのインベッド”として把握できます。
この抽象的なレベルで考えて、export-importが環境転送に利用できそうに思えたのは判ります。
しかし、一口に木のインベッドと言っても、難しさには、様々なレベルがあるのです。
こういう難しさのレベルのことを考えず、利用可能なんて言っても無理。
素人の戯言。
それが証拠に、XPでのFSTWには、あれほどバグがあったの。
以上が外堀の埋め立て効果。
どうですか、知的暗号解読の醍醐味は。
というわけで、結論を言えば、
「環境転送は情報場という新概念で(範囲明晰に)象徴される特許化可能な新システム。
それ以前のexport-import機能の存在では、この特許は無効化できない。」
ということです。
当時の関係者なら、MSが当社の特許の内容をFSTWとして実現したことは公然の秘密。
素人にも判る具体的証拠を提示しておきましょう。
以下はネットの記事ではなく、WindowsXPのCDに添付されたファースト ステップ ガイドのコピー。
内容はWindowsXPで追加されたFSTWに関する説明です。
XP発売直後から、ユーザは皆、この事実関係を知っていたの。
WindowsXPを買ったユーザのほぼ全員が、この記事を見たということ。
御覧のように、MS自身が新機能として宣伝しています。
つまり、MS自身がFSTWは従来のexport-import機能とは違うと主張しているの。
こちらとしては、その主張の根拠をMSに挙げさせればいいのです。
こういう論理的手法が、訴訟では一番有効。
どうです、こういう作戦は。