Statement 4

 

理論編:

1998年当時、大学や企業レベルでは、Windowsマシンよりも、ワークステーションの方が優勢でした。

つまり、システム管理者は、ネットにワークステーションを繋げて管理していました。

このワークステーションの場合、管理者が、ちょくちょく、OSが関係したシステムの改変を実施できたのです。

「設定やファイルを、そのままにして、ネット端末OSの細部をサービスパック的に改変する。」

これが、それまでにあった機能。

「これが可能だったのならば、環境転送機能のベースになるだろう。」

こう思うでしょう、プロですら。

それが錯覚なんです。

この技術は、OSのバージョンアップのベースにはなっても、環境転送のベースにはならないの。

このレベルを理論的に言うと、“木の改変”に当たります。

つまり、この時代は、

「OSバージョンアップは木の改変で関係付ける。」・・・(1)

という認識だったのです。

(技術者が、このように抽象的に認知できていたかどうかは別にして。)

 

それに対し、私の特許は、

「新マシンに、旧マシンの設定やファイルを転送する」

機能に関するものです。

これは、理論上

「新旧OS間に木のインベッディグという概念で関連性を付ける」

と把握できるのです。

これが(1)レベルの認識では得られない理論的見地です。

ここに重要な事実が潜んでいます。

何故、単なる技術レベルではなく、理論レベルの話をするのか?

それは、特許として、以下のようなメリットがあるからです。

 

計算量的に見れば、木やグラフのインベッディングは、一般にNPだとされます。

この場合、決定問題として、

「インベッドできるかどうか?」・・・(2)

がポイントです。

しかし、本特許の場合、(2)が課題なのではありません。

最初から、必ずインベッドできることを前提にしています。

これは、一体、何を意味するのか?

「新OSは旧OSから環境転送可能なレベルの制約を課せられている。」・・・(3)

ということです。

この(3)と(1)レベルの制約との強弱が、ここでの話題ではありません。

「(3)の制約として理論的に扱うことが可能になる」

という見識が大事なのです。

それがインベッドの概念。

 

但し、ここで、一つだけ問題が。

実用上、

「旧環境関連情報が全て完全に新マシンに引き継がれる」

というわけではありません。

中には、不要になる情報もあるでしょう。

理論上、こういうものを処理するには二つの道があります。

一方は、理論と実用は違うとして無視する手法。

理論上は、こちらの方式を採用します。

他方は、不要情報の場合、インベッド先が無いものとして、例外処理で削除する。

これが、工学的に採用される技術です。

しかし、ここでは、この点については論点ではありません。

 

論点は、

「(3)を満たすように新OSを作成するという観点の何処にメリットがあるのか?

そのための戦略として、何故、インベッドという理論的概念を持ち出すのか?」

です。

その回答は、

「こういう風に理論化することで、転送速度という観点の話題を論じることが可能になる。

そして、それが、将来のOSアーキテクチャの一つの指針になる」

からです。

「速い環境転送ができる方向でOSを製作する」

というアイデア。

案外、重要ですよ。

 

これが、共通基盤としての“情報場”というコンセプトの所以。

これにて特許権確定。

私の提案した理論的インベッド(転送)は特許製品化の保証です。

(永久エンジンのようなSFではないということ。)

特許明細書では木のノード指定に順序対を採用しています。

「この方式は他のノードラベル法と比べ、速度の点で有意差があるかどうか? 」

(例えば、順序対と名前では差が出るか?)

「順序対方式はコード問題か? 」

しかし、AIやると、知識表現問題にも見える。

こういう深い知識が背景に控えているのです。

 

但し、誤解しないように。

この特許は順序対表現方式に関する特許ではありません。

それ以前の、

「インベッド世界観」

に関するシステム・方式・プログラム特許です。

技術レベルで言えば、

「OSを環境転送の視点で見ましょう」

という基本特許。

だからこそ、環境転送を具体化した既存ソフトは、全て、特許侵害の対象になるのです。

例えば、FSTWでは、Windows 95からWindows XPへの環境転送が可能になっています。

「これができるのだから、98年に登場した本特許とFSTWは無関係だ」

と思うのが、素人の浅墓さ。

「Windows 95からでも、環境転送した瞬間、結果として本特許を侵害した」

ことになります。

この事実関係を主張するため、長々と論じてきたのです。

 

以上が、OSに関連する

「木の改変vs木のインベッディング」

の対比内容です。

純粋理論上、両者は関係しますが、それと特許の背景理論としての役割は別儀。

本特許の背景理論としての役割の意味で、両者の根本的相違が判ったでしょう。

いいですか、機能というのは、技術的に実現できて、初めて機能。

それまでは、できるかどうか不明のSF。

但し、私の特許のように、理論的に保証されていると、特許になるわけです。

技術屋が見て製品化できるから特許。

 

MSには、こういう理論レベルの背景が欠けているの。

MSは私の環境転送特許の存在をを知っていた。

だからこそ、比較優位ということで、私の提唱する方向を選ぶことができたわけ。

インテルがブーリアンテストの結果を見て、アーキテクチャを変更したのと対比できます。

私の特許を無視できると思ったのが間違いです。

世間も歴史も許さない。

この環境転送の代表がXPでのFSTWでした。

そして、FSTWは、それまでになかった新規機能だということが保証されています。

MS自身、そう宣伝しているの。

キチンと証拠が残っているのですよ、MSがXPに添付した解説書で。